住宅購入の際には物件価格の以外にも税金や手数料など、さまざまな諸費用がかかります。法的に必要なものや、支払うことが一般的な費用も多くありますが、中には「本当に支払う必要があるのか?」と疑問に思ってしまうものもあります。今回はその中の1つ、住宅ローンの代行手数料について見ていきましょう。
住宅ローン代行手数料とは
住宅ローン代行手数料は住宅ローン事務代行手数料とも呼ばれ、要するに住宅ローンを組む際の手続きを不動産会社にやってもらうよう依頼するための手数料です。具体的な住宅ローン手続きとは、金融機関にローンの申し込みをし、必要な書類をそろえて提出することを指します。手数料の金額に特に決まりはなく、不動産会社の言い値で決まることが一般的。そのため3万というところもあれば、40万~50万円請求するところもあるようです。なお、平均的には5万円~15万円ほどという金額設定が多く見られます。
住宅ローン代行手数料は支払わなくちゃいけないもの?
住宅ローン代行手数料は決して安くない費用です。節約できるものなら節約したいというのが多くの方の意見でしょう。実際手続き自体はそれほど難しいことではなく、書類を金融機関に提出するだけです。つまり、特に専門知識がいるわけでもなくどなたでも簡単にできるといえます。仕事があまりにも忙しく金融機関に行く暇がない、手続きが面倒だという方にとっては代行してもらうのも1つの手かもしれません。しかし、それだけで10万や15万も支払うのはちょっと…と思う方もいるでしょう。
では、そもそもこの手数料は本当に支払う必要があるのでしょうか?
不動産会社によって異なる
住宅ローン代行手数料が必要かどうかは不動産会社によって異なります。住宅ローンの審査は不動産会社を通して行う方が有利だからと説明し代行手数料を請求するところや、きちんと説明せずに何となく支払うことを前提として進めるところもあるようです。説明を受けた上で支払っても良いと思える場合はもちろん問題ありません。しかし、手続きくらいは自分でできると思う場合は担当者に相談してみると良いでしょう。ちなみに住宅ローン代行手数料を不要としている不動産会社もあり、リビンでは支払い不要です。
宅建業法上の見解
そもそも不動産の売買時には仲介手数料を支払うことが一般的です。そして仲介手数料には上限が決まっています。仲介手数料以外の手数料を請求することは合法なのでしょうか?
国土交通省が発表しているガイドライン「宅地建物取引業法の解釈・運用の考え方」第46条第1項関係の「6.不動産取引に関連する他の業務に係る報酬について」には、以下のような記述があります。
「媒介業務以外の不動産取引に関連する業務を行う場合には、媒介業務に係る報酬とは別に当該業務に係る報酬を受けることができる。この場合にも、あらかじめ業務内容に応じた料金設定をするなど、報酬額の明確化を図ること。」
つまり、住宅ローン代行を媒介業務以外の業務だと考えればそれに見合う報酬を受け取っても良いという解釈ができます。ただし、その際には明確に報酬額を提示することが必要だということです。
都庁の見解
しかし一方、東京都庁は次のような見解を示しています。
「住宅ローンのあっせん自体は不動産会社として当然の業務であり、代行手数料を請求するべきではない。そもそも仲介手数料を上限(成約価格×3%+6万円+消費税)で請求しているのであれば、その他の手数料は超過報酬にあたる。」
このように、住宅ローン代行手数料は請求すべきではないというのが都庁の見解です。そのため、都庁では住宅ローン代行手数料の返還に関する相談窓口を設けています。
おわりに
住宅ローン代行手数料は、住宅ローンを申し込む際の手続きを不動産会社に代行してもらう際に請求される手数料です。しかし、実際は専門的な知識も必要なく誰でも行える手続きのため、代行してもらうだけで何十万も請求されることに納得がいかない方も多いでしょう。結論としては、住宅ローン代行手数料は特別に支払う必要のないものといえます。事前に住宅ローン代行手数料について理解した上で話が進んでいるなら問題ありませんが、何の説明もなく請求されている場合は東京都内の案件であれば返還請求ができるかもしれません。