皆さんは、家の中で過ごしているときに気分が悪くなったり、倦怠感やめまいを感じたりした経験はありませんか?
ただ疲れているだけと思っている方も多いでしょうが、もしかしたら原因は体調不良ではなく、シックハウス症候群にあるかもしれません。
今回は、健康被害を招くシックハウス症候群の原因と対策についてご紹介します。
住居内の空気が汚染されることによって、引き起こされるさまざまな健康被害を総称して、シックハウス症候群と呼びます。つまり、シックハウスとは汚染された状態である「病気(sick)」の家といえるでしょう。
典型的な症状として挙げられるものが、下記です。
・皮膚や目、喉などの刺激症状
・倦怠感、めまい、頭痛などの体調不良
とくに、シックハウス症候群は、新築やリフォーム後の住居に起こる可能性が高いといわれています。また、住居に限らず、オフィスビル、新品の自動車などでもシックハウス症候群と同様の事例が報告されています。
近年、建築技術や科学技術の発展により、住居の断熱化や気密化が大きく進んでいます。その結果、すきま風が減り室内の温度が一定に保たれやすくなった一方で、換気性が悪化しました。
そして、気密性を高めるための建築資材に使用されている化学物質が主な原因となり、室内の空気汚染が起こってしまうのです。換気性の悪さは室内汚染、さらにはカビやダニの繁殖を助長させています。
また、石油ストーブやガスストーブからも一酸化炭素や二酸化炭素、窒素酸化物などの有害物質が排出されます。
以下は、具体的に化学物質が空気中に放出されるケースです。
・壁材に使用される接着剤中のホルムアルデヒドや有機溶剤の蒸発
・木材の防虫剤や防カビ剤の蒸発
・家具に塗装されたペンキやラッカーの有機溶剤が蒸発
また、化学物質の他にも原因は考えられます。引っ越しをする、新築の家を建てるという精神的なストレス、気温や光の加減、周辺の騒音などによる物理的なストレスなど、化学物質以外にもさまざまです。
シックハウス症候群には、いくつかの対策法があります。
そもそも新築・リフォーム時に、化学物質をできるだけ使用しない設計にしましょう。 ただし、化学物質が必要ない資材ばかりを選んでいくとコストが大きくかかってしまいます。そのため、まずは家の要となる土台・柱・梁などの構造材に良質なものを選んでください。それから、家の面積を大きく占める壁・床・天井を優先して、化学物質が少ないものにしましょう。
余裕があれば、モデルハウスに行き、実際に使用されている木材を自分の目で確かめることをおすすめします。
新築・リフォーム直後はどうしても、室内の化学物質が発散しやすくなります。そのため、しばらくの間は換気をしっかりと行ってください。
しかし、ただ窓を開けるだけでは効果が薄いといわれています。空気の通りと循環を良くするために扇風機やエアコンの送風機能などを併用すると良いでしょう。
化学物質は、気温が上がると蒸発しやすくなる性質があります。ベイクアウトは、その性質を利用して、部屋の温度を30~40度に保った状態で窓を閉め切り、あえて化学物質を一気に放出させる方法です。もちろん、ベイクアウトのあとは十分な換気をしてください。
冬場の場合は、暖房器具を長時間使用するため、その分多少コストはかかりますが、確実に化学物質を減らす方法です。
ただし、ベイクアウトは塗料には効果がありますが、いまのところ合板などのホルムアルデヒドには影響がないとされています。また、温度の上げ過ぎによる、内装のはがれなども心配されるため、慎重に行ってください。
新築・リフォーム時によく起こる、シックハウス症候群。その大きな原因は建築資材や家具などから放出される化学物質です。そのままにしておくと、皮膚や目に異常が出たり、頭痛やめまいなどの体調不良を感じたりします。
新築・リフォームに取りかかる際には資材選びを慎重に、またその後も換気などの対策をしっかり行ってください。